前回までのあらすじ
30歳まで映画監督になる夢を追いかけ就職したことがなかった木下。正社員として就職することを一大決心し、各転職サイトに登録。
応募1通目にして書類先行を突破し、面接へ呼ばれることとなった。
体験談比較 木下・井上
今回は木下の就活第2週目。面接編をご覧いただきましょう。
また「面接を受ける際、注意すること」、「面接で受ける質問」、「履歴書や職務経歴書の書き方」、「空白期間や志望動機の説明」などにも触れていますので、是非ご覧ください。
職歴がない人向けの就活媒体
初の面接への準備
木下は初めに「リクナビNEXT」「@type」「マイナビ転職」などフリーターが利用できる転職サイトに登録しました。
そしてマイナビ転職(株式会社マイナビが運営する大手転職サイトの一つ。求人数も多く比較的良い求人が多い)で見つけた求人に応募すると、運よく1通目で書類選考を通過。面接にお呼ばれする事が決まります。
就活を始めた5日間は「自分に100%合った企業しか応募しない!」と決めていましたが、そんな意見がまかり通る年齢ではない事に直ぐ気づき、「とにかく応募しよう!」と方針を変えたのも良かったのでしょう。
転職サイトには悪質な企業やブラックな企業も多いと聞いていましたが、企業の質については書類選考が通ってから詳しく調べればよいだろうと考えを改めたのです。
面接で必要なマナーと礼儀を学ぶ
アルバイトを除けば人生初めての面接ですから、具体的に何をしていいのかが分かりません。木下はこの時リクルートスーツさえ持っていない状況で、通常のスーツも冬用のみ。今まで夏は捨てて生きていました。
そこで転職支援サイトを読み、急いでスーツ・鞄・靴を買い揃え(就職活動に必要なもの・あると便利な物)、履歴書や職務経歴書の書き方を学び(既卒の空白期間がある履歴書の書き方)、面接作法(普通の面接作法で他の応募者と差をつけろ。マナーと礼儀)を勉強しました。
情報収集をしすぎて面接に行くのが嫌になる
つぎに面接の質問対策を考え、その企業についての情報を事細かに調べ完全武装に挑みます。しかしそれが大きな過ちでした。
その企業をインターネットで詳しく調べていると、
「毎日終電まで帰れないし残業代もない」
「月末は泊まり込み」
「ブラック企業」
そんな良からぬ噂をたくさん見つけてしまったのです。
完全武装どころか面接前日にして完全に意欲を削がれます。「そんな会社なら採用されたくない」と敵前逃亡してしまうのです。
当初の予定ではその会社について調べるだけでなく、面接で受けるであろう質問も全てノートに書き出し、どんな質問がきても答えられるよう準備しておこうと考えていました。
ただ「ブラック」というとてつもなく大きな言葉に「ここに俺の居場所はない」と判断し、ノープランで面接に挑むことになるのです。
面接で受ける質問
POINT職歴なしが面接で受ける質問は、就職面接でよくある質問ベスト30 回答例とポイント解説とほとんど変わりませんが、1点だけ新卒や転職者と大きく違う質問があります。
それは「今まで何をしていたのか?」という質問であり、必ず受ける質問です。
これは「仕事に対する熱意」は勿論ですが、「現在は就業可能なのか=採用して仕事を続けられるのか」が問われています。
つまりその面接官の心配を解いてあげるように答えなければ不採用になってしまうのです。例え働いたことがなくても、自分が一生懸命取り組んでいたことを説明するようにしましょう。
もし書類選考が一切通らないという方は職歴なしの職務経歴書の書き方も合わせてご覧ください。
ノープランでの面接 当日
いよいよ面接当日。
昨夜の意気消沈は夜が明けても変わることはありませんでした。行くことさえも面倒になっていました。
ただどうせ行くならと、気持ちを切り替えます。
「この会社はよくないかもしれないが、今後就活を続ける上でどうしても入社したいと思える企業が出てくる筈。その面接の予行練習と思えばこの経験は貴重なものだ」と意を決して面接に向かいます。
面接は採用担当の方1人で、30歳職歴なしの木下にも、とても優しく接してくれました。
また仕事内容を伺うとネットで見かけたような話もなく、ブラックな条件もありません。繁忙期はそれなりに忙しいようですが、あくまで常識の範囲内。
業務内容も向いていた為、最高条件の企業、運命の出会いと言っても過言ではありません。
予行練習のつもりで参加した面接でしたが、この話を聞いた瞬間「内定をとる」に目標は変更していました。
しかしここで昨日の詰めの甘さが仇となったのです。面接もそこそこ良い感じに進み、いよいよ最後の質問。
「この会社の業績を伸ばす為に、どんなことができるとあなたは考えますか?」
これは今回受けた質問の中で最も重要度の高いものでした。
実績もスキルもキャリアもない30歳の男が、現時点でこの会社の力になれることと言えば頭を使うことだけです。
面接官が納得でき、持っていなかった視点で答えても良かったでしょう。その面接官、もしくはその会社の考え方に共感していてもよかったでしょう。
しかしうまく頭が働かず、その最重要質問に何も答える事が出来ないまま長い沈黙だけが過ぎてしまったのです。
今まで良い感じに進んでいた面接も一気に不穏な空気となり帰路につくことになります。
初めての面接で得たこと
面接で質問に詰まってしまうのはよくあることです。しかし木下が悔しかったのは、その最重要質問は前日に質問対策としてリストアップしていた点です。
もし前日にネットの悪評に踊らされる事なく、しっかり自分の意見を考えていれば、もしかしたら違う未来があったかもしれないのです。
もちろん落ちた理由はこれだけではないかもしれません。そこまでは上手くいっていたと感じただけで、それ以前にも理由はあるかもしれません。
ただこの日、調べすぎる事はマイナスにもなると学習したのでした。
とにかく求人に応募して面接に向かい合格通知を頂いてからでも、その企業について調べる事は出来ます。もし自分と合わないと感じればその時にお断わりする事も出来ます。
目につく求人全てに応募していたら効率は悪いですが、ある程度のラインを決めてやってみるのは良いと知った1週間でした。
※口コミサイトや掲示板などには虚偽の内容もありますが、真実の内容も書かれています。
大学在学中に映像制作を始め、プロになるため大学卒業後も就職せずに活動をする。30歳で夢を諦め就職活動を行う。
中学卒業後から音楽に明け暮れ、プロのミュージシャンになるためバンド活動を行う。28歳で夢を諦め就職活動を行う。
職歴なし体験談比較 木下・井上