「募集の意思がないのに、企業が求人情報を公開する」。
これを「カラ求人」と呼びます。
募集の意思がないのに求人募集するなんて不思議な話ですが、これにはいくつかの「企業側が得をする」カラクリがあるのです。
今記事では、「カラ求人の仕組み」「企業のカラ求人の目的」「カラ求人の見分け方と対応法」について、当事者である企業の人事担当者が解説いたします。
「やっと求人を見つけたのにカラ求人だった」「一生懸命履歴書を書き、面接対策までしたのにカラ求人だった」なんてことにならないよう、求人募集の段階で見分ける力を養いましょう。
空求人とは
企業の求人の方法については大きく分けて3つの方法があります。
企業の求人募集媒体
- ハローワークの求人
- 「人材紹介会社」などWEBや求人誌を利用した求人
- 自社独自でWEBを使った求人
前述の通り、カラ求人は「企業の募集概要」と「こちらの条件」が合致して応募しているにも関わらず、一向に連絡が来ない、面接をしても落とされることを指します。
「人材紹介会社」と「自社独自」での募集については、人手も費用も掛かるので、そもそもカラ求人を行うこと自体に意味がありません。
しかしながら、費用の掛からない「ハローワーク」での求人についてはカラ求人が発生する可能性があります。
なんのためにカラ求人を掲載するのか?企業の目的
ではそもそもカラ求人はどの様な目的で行われるのでしょうか?
なぜカラ求人を掲載するのか
- 求人情報の取り下げを忘れている
- 本当に良い人材に会えた場合のみ採用を考えている
- 助成金目的
- ハローワークから頼まれて掲載している
- 面接練習、企業の宣伝
1,求人情報の取り下げを忘れている
一番多い理由は、採用が決定したのに求人票をそのまま公開しているパターンです。
採用担当者は採用までのプロセスにおいては全力で動きますが、受験者の入社意思が確認できた後は気が抜けてしまのか、求人情報の取り下げを忘れてしまう事が間々あります。
これはハローワークだけでなく、人材紹介会社のWEB、求人誌でも十分に起こりえる事です。
2,本当に良い人材に会えた場合のみ採用を考えている
次に多いのが、本当に良い受験者に合えた場合のみ採用を考えている求人です。
現時点では、採用の緊急性や重要性は高くないので、スキル・キャリアが完全マッチした場合のみ採用を行おうと求人掲載しています
とてもハードルが高い求人な為、大半の人が書類選考の段階で不採用になってしまいます。
3,助成金目的
小さい会社に稀にあるのが助成金目的での求人です。
これは応募者を一度採用する必要はありますが、短期間でクビにしてしまえば、雇用のリスクを背負わず助成金を受け取れるので、横行しています。
ポイント
ハローワークを通じて求人を行い採用が決まった場合、諸条件をクリアすれば、国から企業に対して様々な助成金の支給があります。助成金にもかなり種類がありますが、「障害者雇用」「高齢者雇用」以外にも「生活保護受給者雇用」「長期不安定雇用者の雇用」などがあります。簡単に言うと難しい就職環境にある方々を雇用した場合に助成金の支給対象となるのです。民間の人材紹介会社ではこれらの受給はできません。
この助成金の受給を目的にハローワークに求人を掲げて、雇用を行い、低賃金で働かせた上で助成金の受給を受ける様な完全「ブラック企業」があるのです。
最近では少ないですが、ゼロとは言えません。
5,その他
それ以外では、企業の宣伝を目的としたもの、若手社員の面接、採用の練習を目的としたものがあります。
ここに注意!ハローワークのカラ求人の見分け方
求人情報を見る場合において一番大事なのは、仕事内容、待遇などの募集概要が細かく出されているかを確認することです。情報についても可能なかぎりハローワークの担当者に確認を行ってください。
現在の日本はどの企業も人手不足です。
この環境下で本当に人を雇う事を考えたら、企業の情報発信に手抜きはできない筈です。募集概要がスカスカな企業は仮にカラ求人でなかったとしてもお勧めできません。
また継続的に大量の求人数を掲載している企業は離職率の高さが要因となっている可能性も高く、ブラック企業的な労働環境の可能性があります。
求人の案内日が極端に古い企業も求人が既に終わっている危険性があります。
カラ求人の例
ハローワークの求人票はフォームが決まっている上に事由に記載をできる部分が少ないために、一見非常に見分けがつき難いのは現状ですが、以下の様な求人情報はカラ求人の可能性があります。
ココに注意
「未経験者歓迎」
「常に求人を行っている」
「離職率が高い」
「採用人数が多い」
「社会保険加入がない」
「給与のレンジが広すぎる」
カラ求人に応募をしてしまったら?連絡・面接での対応で判断
カラ求人に応募をしてしまった場合、大きく二つの反応に分かれます。「連絡を取ってくる企業」と「連絡をして来ない、もしくは連絡がとても遅い企業」です。
連絡を取ってくる企業においてはまだ良いのですが、連絡が無い場合はどうにも対応が出来ません。せっかくの時間が無駄になります。
通常の採用活動を行っている企業で連絡がない、取れないなどという事はまずありません。連絡がない場合にはハローワークにもその旨を伝え、すぐに選考辞退をされる事をお勧めします。
カラ求人に応募をしてしまった可能性がある場合には、この対応に尽きます。
仮に面接に進んだとしても、極端にやる気がなかったり、全く経験ない社員が面接に出てきたりする場合もあります。これらについても直ぐに選考を辞退するべきでしょう。
ハローワークにも民間の人材会社にも良い点はある
新聞などのメディアでも散々言われておりますが、現在の日本は高齢化と出生率の低下から労働人口が減少の一途を辿っております。企業における人手不足が大きな課題になっています。
厚生労働省が発表した2018年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.62倍となっており、1人に対して1.62社が求人を行っている状況であり、選ばなければ誰もが必ず職にありつける事になります。
このタイミングを上手に利用しましょう。
また求人を探す際には、ハローワークと同時に、民間の転職サイト、人材紹介会社も使う事をお勧めします。
前述の通り、ハローワークに企業が求人掲載する場合、登録費用は掛かりません。ただし求人の条件において年齢制限、男女の区別もする事ができません。
しかし現実的に中途採用の募集概要においては、求める年齢・スキルは明確になっていることがほとんどですので、人物像がある企業にとってはハローワークでの求人は効率的ではありません。
従って大企業がハローワークで求人を募る事はあまり多くないのです。中小企業の利用が多いのが現状です。
どちらが良い悪いはありませんが、たくさんの媒体に触れて、良い求人を探すようにして下さい。
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