採用不採用を決める上で、企業が最重要視しているのが面接です。
いくら履歴書を綺麗に書き、企業にとって理想的な職務経歴書を提出しても、面接でその思いを伝えることが出来なければ内定をとることは難しいでしょう。
そのせいか、面接で極度の緊張をしたり、普段通りの自分を見せることが出来ず失敗してしまう方がたくさんおられます。
一般的にあがり症と呼ばれるのは以下に属する方々です。
・緊張状態時いつも頭が真っ白になる
・声が裏返ったり声が出せなくなる
・相手の言葉が入ってこない
・自分で何を言っているか分らない
・不安に襲われ、汗が止まらなくなる
以上に当てはまる方は人よりもあがり症と言えるでしょう。ですが、これらに属する方でも対策をとることで極力不安を減らすことは出来ます。
今回は面接で緊張してしまう、特にあがり症の方へ、面接対策の方法をお話させていただきます。最後にお話しする劇団員が教える緊張対策方法も参考になるので、是非ご覧ください。
緊張するのは本気度の現れ
まず始めに、緊張するのは悪いことではないことを頭に入れておきましょう。
例えば面接以外でも、人と話すだけで緊張する方がいます。かくいう私もそうでした。初対面の人と話す時なんて、声が上ずったり視線が落ち着かなかったり、とにかく慌てます。
ただ何故そのような状態になるかというと、「本来の自分を見せたい」という思いや「受け入れてもらえるか」という思いなど、「相手によく思ってもらいたい」という考えが根本にあるからでした。
人と対峙しているのに「相手」を見ているのではなく「自分の内側」を見ているのです。好きな人と話す時緊張するのもこういった理由で、誰しも一度は経験したことがあると思います。
では就活の面接はどうかと考えた場合、採用を左右するのですから、当然相手によく思ってもらう必要があります。好きな相手を振り向かす必要があります。
だから緊張して当然なのです。それだけあなたの本気度が高いということです。
もし一切緊張しないという方は「本気度が低い」か「場慣れしている人」か「自信でみなぎってる人」です。
「場慣れ」も「自信」もほぼイコールで、積み重ねるものですからすぐにはできません。ですからまずは緊張は当たり前ということを受け入れることから始めましょう。
勿論それらを少しほぐすことは可能ですし、これから紹介する方法で極度の緊張状態でもある程度は対応することが可能となります。
採用担当者も緊張している
前述の通り緊張は誰もがするもの、それは面接官も例外ではありません。
あなたが「審査されている、どうしよう」と緊張しているように、面接官も緊張している可能性は高いのです。
面接官と言っても、10年以上面接採用を行っている百戦錬磨の人事ばかりとは限りません。企業から今回初めて採用面接を任された人事の方もたくさんおられるのです。つまり面接官も審査される側なのです。
そう考えると少し気楽に挑めると思えませんか?
劇団員が教える事前にできる緊張対策法
私の友人に演劇をやっている者がいます。
ここからは彼が本番前日までに行っていた「役者式緊張対策法」と、極度のあがり症でもある程度対応できる「ながら練習法」についてお話しさせていただきます。
役者式面接緊張対策法
今では本番も難なくこなせるようになりましたが、当初の彼は違いました。いざ舞台に上がると頭が真っ白になったり、言葉がうまく出てこなくなったのです。就活面接でもこのような経験をされた方は多いと思います。
そのような場合、一番効果的なのは言葉を実際に声に出して練習を行うことだと彼は言います。
あがり症の方は用心深く神経の細かい性格の方が多いので、面接で予想出来る質問については予め答えを用意している筈です。しかし当日になると頭が真っ白になったり焦って、用意していたものを上手く伝えることができません。
その焦る理由の1つは、本番でしか自分の声を聞いていないからであり、言い方を決めていないからなのです。伝える内容ばかりに頭を使っていませんか?どれくらいのボリュームで、どんな言葉使いで話すかの表現方法までしっかり決めていますか?
それらが曖昧な状態で面接の本番に挑んでも、自分の声にびっくりしてしまいます。頭でイメージしたように伝えられず焦ってしまうのです。
ですからまずは自分の言葉に慣れることから始めて下さい。
もし可能ならば、それをビデオカメラやスマホ等を活用して録画してみましょう。誰もいない部屋でも、録画しているという行為に人間は緊張するものです。その緊張度合は本番に勝るものではありませんが、ある程度疑似体験が出来ます。
また今まで気にしていなかった表現の仕方や言い方など、細部まで注意を払うことが出来るのでおすすめです。
この時、出来るだけ笑顔で話すこと、言葉尻をしっかり伝えることにも気をつけて練習して下さい。
1、面接官の質問を全て考え、回答を紙に書く。
2、次に頭でイメージトレーニングする。
3、それを声に出して練習する
この順番で面接対策をしましょう。
この後、より完璧に仕上げたい方は、面接官の役を家族や友達にやってもらい、当日と同じように面接を行ってみましょう。
待合室で待っている所から行うことで、より効果を得ることができます。繰り返すことによって脳だけでなく体に覚えさせることが出来ます。
「頭が真っ白」「台詞が飛ぶ」「言葉が出てこない」極度のあがり症に効く ながら練習法
しかし彼はある時期、どれだけ役に入り込み声に出して練習を重ねても、本番になると必ず台詞を飛ばしてしまうことがありました。本番中に一度言葉に詰まった失敗をしてから、常に極度の緊張を感じるようになってしまったのです。
そこで彼が考えたのが「ながら練習法」でした。もし練習の段階では完璧なのに、どうしても本番頭が真っ白になってしまうという方におすすめです。
ながら練習法はとても簡単です。ゲームをしながらでもテレビを見ながらでもよいですが、多少頭を使う作業をしながら、同時に面接で話す言葉を口に出します。ながらで面接練習を反復して、とにかく口に馴染ませるのです。
どれだけ練習しようが結局本番は頭が真っ白になるのだから、何も考えなくても口から言葉が勝手に出るようにする他なかったそうです。
彼がながら練習を取り入れるようになってからは台詞を飛ばすこともなくなり、成功体験を積んだことで本番でも言葉が浮かぶ、つまりアドリブも対応できるようになりました。
面接の場合は演劇と違って相手の質問に対応する必要があります。但し質問はほとんどテンプレに近いものばかりですから、90%以上はこの方法で対応できます。
面接も演劇もセリフではなく、自分の気持ちや演じる人の気持ちを素直に話せばよいのは勿論ですが、それが出来ないという極度のあがり症の方にはながら練習がおすすめです。
面接当日の緊張対策
ここからは面接当日にできる緊張対策法についてお話させていただきます。
当日にできる面接対策法は月並みですが、「呼吸法を変える」「ツボを押す」「開き直る」の3つがあります。
1、呼吸を変える
当日の待合室では、緊張状態も高まっているでしょう。そういう時大体は呼吸が浅くなっています。しっかりと深い呼吸をすることで落ち着きを取り戻すことができます。
ただし過呼吸になってしまう程パニックの場合は深呼吸は逆効果になります。そういった方は酸素を吸いすぎ、二酸化炭素を出しすぎているので小さく呼吸することを意識しましょう。
2、精神安定のツボ「労宮」と「合谷」
精神を安定させる効果があるのは「労宮(ろうきゅう)」と「合谷(ごうこく)」というツボです。労宮は手の指を手の平の中央部分に握って、中指があたる部分にあります。
労宮を逆の指でゆっくり押し、5秒くらいたったゆっくり離す。これを繰り返しましょう。
合谷は親指と人差し指の付け根部分にあるツボです。ちょうど骨が合わさる部分ですね。ここを同じように5秒くらいかけて押すことで、動悸を抑えたり、多汗症を抑えたりすると言われています。
しかし、これら2つの方法で緊張がほぐれる方もおられますが、ほとんどの方は大した効果を得られないでしょう。
特に「そんなことで緊張がほぐれる訳がない」と考える方にはまず効きません。「目の前にいる面接官を野菜と思え」と言われても、実際野菜と思うのは難しいです。
3、開き直る
ですから当日の最も良い緊張克服法は、とにかく気負いしない、つまり開き直るしかありません。冒頭にも述べた通り、自分を良くみせようと背伸びするから緊張するのです。
でも当日までやるだけのことはやったのですから、これで不採用なら仕方ないくらいに考えて開き直りましょう。そうすることで等身大の自分で挑めますし、緊張も和らぎます。
それに面接官はあなたの面接作法を見て採用を決めている訳ではありません。それよりも、実際に仕事の場に立った時、お客様や顧客に対し誠意ある対応ができるかを見ているのです。
だから多少ミスしても大丈夫です。誠心誠意で挑むことだけ心掛けるようにしましょう。
緊張を伝える・カンペを利用する注意
例外として、最初に緊張していることを伝えるのも1つの方法です。自己紹介で「大変緊張しており、お聞き苦しい点があるかもしれませんが宜しくお願い致します」と伝えても悪い印象を抱くことはありません。
またメモを書いた紙などカンペを用意する方がたまにいますが、極力使用しない方が良いです。カンペを見て話すと自分の言葉で話しているように見えないからです。
ただ中途採用の場合、提出した履歴書を自分の分もコピーしておき前に置いておくのは場合によって有効です。言葉につまった場合、それを頼りに面接を進めていくくらいなら構いません。
但し嫌がる方もおられますし、見やすい位置に置けない場合もあるので、基本的にカンペはないものと考えておきましょう。
集団面接の場合
中途採用ではあまりないケースですが、新卒採用の場合集団面接が行われることがあります。
集団面接も個別面接とコツは同じです。
とにかく声に出して練習すること、気負いしないことに注意して下さい。
他の人と比べて自分の経歴がちっぽけに思えたり、自分の意見がいまいちに感じることもあるかもしれませんが、気にする必要は一切ありません。
自分が用意していた言葉をしっかり伝えることだけに集中しましょう。例え他の人と意見が重複しても変える必要はありません。自分に自信を持って挑むようにして下さい。