前回までのあらすじ
ミュージシャンになる夢を追いかけ今まで就職したことがなかった井上。28歳に正社員として就職することを一大決心する。手始めに企業のホームページをネットで検索し、採用情報から直接応募する。
職歴なし体験談比較 木下・井上
今回は28歳職歴なしから就職活動を始めた井上の「就活第2週目」です。
また「企業へ直接応募するメリットとデメリット」「直接応募の採用率」「転職エージェントから紹介された企業に直接応募する」についてもお話させていただきます。
直接求人応募の方法
前回同様、井上は気になった目ぼしい企業を検索し、ホームページの求人募集ページから直接応募を繰り返しました。
この方法を特に気に入っている訳でも手応えを感じた訳でもありませんが、就職活動が生まれて初めての井上には転職サイトや転職エージェントを利用する発想自体がなかったのです。
企業への直接応募は、知っている「企業名」や「職業 地域」を検索サイトに放り込み、企業のホームページで採用募集を行っているか1件1件確認していきます。
WEBサイトは、その会社の考えや方向性が強く反映されているので、ハローワークや転職サイト等のフォーマットに沿った求人広告よりも、直感的に企業の色を知ることができます。
ホームページから求人応募は時に有効
POINT一見無駄が多く面倒な方法ですが、この方法も後から考えると理にかなっています。
企業が中途採用をするほとんどの理由は人材不足のためです。一刻も早く人材を確保したいので、自社のHPだけでなく転職サイトやハローワークを利用し求人を募ります。
ただし今すぐに必要でない場合(良い人がいたら雇おうという消極的な求人)や、選考に時間がかかるのでたくさんの応募を避け質の高い人材だけを集めたい場合、非公開で求人を出します。
それらは転職エージェントや人材紹介会社のみしか抱えてない求人と言われており、転職サイトの一般公開では募集をしていません。
ただいつでも対応できるよう自社HPでは募集をかけているのです。
つまりホームページからの直接応募は、非公開求人に応募できるとも言い換えられ、ハローワークや転職サイトでは知ることのできなかった求人に触れられるという点でとても有効なのです。
また転職エージェントを通さない方が面接では有利になる事さえあります。
細かい理由は非公開求人のデメリット 非公開で募集する理由とは?に回しますが、求職者がエージェントを通して面接に来た場合、採用すると企業側は紹介料としてエージェントにお金を支払う必要があるためです。
直接HPを見て応募してきた人なら紹介費用は一切発生しません。つまり採用のハードルが下がるケースもあるのです。
就活が初めてだった彼は、勿論こんなことを考えていたわけではありません。
一般的にはとても非効率な方法であり、時間があり余っているからこそ出来たのでしょう。
エージェントの紹介求人にはWEBから直接応募しない方がいい理由
ただ今ご紹介した方法は、あくまで転職エージェントに登録していないケースです。登録し紹介も受けているのに、採用ハードルが低くなるという理由でエージェントを介さずに応募するのはルール違反です。
またせっかく人材紹介会社に登録しているのに、受けられる様々な恩恵を避け、直接応募するのは実はデメリットの方が多く、採用率を下げてしまうことにも繋がるのです。
まず人材紹介会社を通した方がよい理由の1つが、企業の内部事情を知ることができるという点です。
企業が今どんな人材を求めているのか、どんなアピールをすれば採用に近いのかを適切に教えてくれます。
企業はすぐにでも人材が欲しくて募集しているのではなく、質の高い人材を求めているのですから、企業の内部事情を知り自身をそこに近づけてアピールする方が採用率は高まるのです。
企業がどのような人材を求めているかも分からないまま、「入社したい」「働きたい」「やる気あります」と言っても、あまり響かないのは当然のことです
またそれらを把握した上で、適切な書類の書き方や面接法を教わることができるのもメリットの1つです。
今まで数々の求職者を企業に送り込んできたプロの添削や、面接対策を教わることができるのですから、これを利用しない手はありません。
例えどれだけ経歴が優れていようと、企業に必要なスキルを持っていようと、企業に良い印象を持ってもらえるようアピールできなければ意味がないのです。
よほどアピール方法に自信がある方でない限りは、任せる方が採用率は高まります。
転職サイト・ハローワークの求人に直接応募
また転職サイトやハローワークで求人を見つけ、それら媒体を通さず直接応募するという方もおられます。
これは紹介状を受け取る手間や、余計なやりとりを避ける為に行うようですが、意味はあまりありません。
特にハローワーク求人の場合、紹介状が必須な企業もありますし、採用後にも職安に間に入ってもらえることを考慮すると、デメリットの方が多いです。
ですから面倒でも、見つけた求人は見つけた媒体を通して応募する方がよいでしょう。
中途採用の直接応募は電話かメールか
面倒なことが苦手な井上は、採用募集ページを見つけては「面接を受けたいのですが」と直接電話をしました。
すると大抵の企業からは「1次審査として履歴書を郵送してください」と返事を受けます。
直接応募する際、電話かメールかで悩む方も多いですが、これはホームページの採用情報に従ってコンタクトを取るのが無難な方法です。
「まずは職務経歴書郵送」とか「履歴書を添付」と書かれているのに電話をしても、「必要書類を送ってください」と言われるだけで二度手間です。
勿論丁寧に電話の断りを入れた上で送る方が印象には強く残りますが、よっぽど人材に困っていない限りは、採用に影響はありません。
もしホームページに何も書かれておらず、電話番号などが記載されている場合は、「採用募集を見てご連絡させていただいたのですが」と電話でコンタクトをとるとよいでしょう。
井上の就活第2週目
井上は企業への直接応募を2週間繰り返しましたが、結果的には「職歴なし28歳ニート」という悪条件での書類選考突破は厳しく、面接に呼ばれる事はありませんでした。
今の年齢や状況など自分のキャリアを度外視し、あまりにもレベルがかけ離れている企業に応募していたのが原因です。
ある程度希望条件を下げ、もっと違う業界や職種へと広い目で見ていれば、面接までいく事は可能だったと思いますが、自身の就職市場価値を把握できていなかったのです。
木下・井上の就活比較
ほぼ同条件で、同時期に就職活動を始めた木下と井上ですが、就活2週間目にしてすでに差が出ます。
しかしこの差は、現時点においてはたまたまと考えてよいでしょう。
木下が1件目で書類選考通過したのは偶然であり、実力でもなければ、転職サイトを利用したからでもありません。
二人とも自身のキャリアを踏まえた上で、求人に応募した訳ではないので、応募した企業のレベル(会社規模・実績など)も同レベルです。
大学在学中に映像制作を始め、プロになるため大学卒業後も就職せずに活動をする。30歳で夢を諦め就職活動を行う。転職サイトを利用して応募した1件目で書類選考通過。しかし面接でうまく回答できずに撃沈。
中学卒業後から音楽に明け暮れ、プロのミュージシャンになるためバンド活動を行う。28歳で夢を諦め就職活動を行う。企業のHPから直接応募するも書類選考ですべて撃沈。勇敢にも同じ方法を2週間貫く。
職歴なし体験談比較 木下・井上
職歴なしの就職活動の進め方