新卒採用・中途採用に関わらず、作文という選考課題は多く見られます。
企業は多くの受験者を効率的に見極める為に、面接の前に「筆記試験」「作文」などという選考プロセスを用いて、面接対象者の絞込みを行います。
今回は、企業の採用担当者である筆者が、「就職試験における作文の書き方」や「文章構成」を例文を交えながら解説致します。
就職試験の作文とは?
採用プロセスというのは全てが繋がっています。
企業は面接の前に履歴書の確認、職務経歴書、筆記試験、成績証明書、作文などの事前資料を集めて、それらの内容、事実について面接を通じて確認をするという仕組みになっています。
つまり作文は、受験者の事前情報の提供の一つとなります。
出題方法は、前もってお題を発表し事前に提出するものと、当日試験会場に行ってからお題が発表され書くものと2つのパターンがあります。
当日試験の場合は、大体30分で原稿用紙2枚〜3枚が目安となることが多いです。
また作文の内容については面接においても聞かれる事が前提であると想定しておくべきでしょう。作文のテーマとして難しいものはほとんどありません。
しかし逆にいえばテーマが簡単なだけに受験者の表現力によって明確に差がでるのが作文です。作文はその内容も重要ですが、表現力、思考力も問われていると考えてください。
簡単に言ってしまえば、受験者の考え方を知ると共に、企業に入ってからの報告の能力、プレゼンの能力を測っていると言えます。実際、採用試験の中で良い文章を書けた社員は、入社後の業務における報告書も非常に読みやすい事が多い気がします。
就職試験作文のテーマ一覧
作文におけるテーマについては、新卒であれば「過去に頑張った事」「学生時代に注力した事」などが圧倒的に多いです。
中途採用においては「自分の仕事のキャリアを通じてのアピール、成功事例」を求められる事が中心になるでしょう。
また共通するのが、受験企業に対する「志望理由」、「最近興味のあるニュース」、「受験企業の事業領域で気になった事(例)食品メーカーを受験した場合は最近気になる食べ物は?」、「最近話題のニュースについての」といったものをあります。
大別すると、「価値観や考え方を問うもの」と「受験者の経験・スキルを問うもの」の二つになります。
新卒・中途に共通するテーマ
- 過去に頑張った事
- 学生時代・仕事で注力した事
- 学生時代・仕事で苦労した事
- 学校・仕事でどのような事を学んだか
- 5年後、10年後の自分はどうなっているか
- 将来の夢は?
- どのような仕事をしたいか
- 最近話題のニュースについて
- 志望業界のニュースについて
就職試験作文の書き方とコツ
作文の書く中でのポイントはいくつかありますが、まず企業が確認をするのは、丁寧に「字」を書こうとしているかという部分です。
当たり前の事ですが、作文における「字」は第一印象です。面接においても身だしなみが大事なのと同様に、綺麗な字を書けなくても丁寧に「字」を書こうとする姿勢は絶対に必要になります。
続いて作文で重要な事は「読みやすさ」です。
詳細は後述致しますが、分かりやすい表現で楽に読んでいける文章であるという事です。
使い慣れない敬語、難解な言葉、極端な専門用語は読み手を混乱に陥れます。読み手である人事担当者は大量の作文を読んでいます。
正直、かなり疲れる作業です。
真剣に採用業務行っておりますので、1人1人の作文をしっかり読もうとします。しかし人事担当者も人間ですので、スムーズに呼んでいけない文章は自ずと悪い評価になりがちなのです。
作文は論文ではありません。限られた時間、限られた字数の中でいかに的確に、シンプルに、自分の情報を伝えられるかがポイントです。
また作文の中で「受験企業への関連性を持たせる」事が重要です。
作文は文章による自分のアピールです。あくまで自分を知ってもらう事前資料の作成だと考えてください。
「志望理由」なら当然の事ですが、「学生時代に頑張った事」「最近興味のあるニュース」というテーマにおいても、受験企業との関連性を持せてアピールをする事が大事です。
作文の書き方構成
文章構成
- 序論・・・自分の答え、考えを定義
- 本論・・・その根拠を積み上げる
- 結論・・・自分の答え、考えに帰結
作文を書く場合にはまずその構成を大事にしてください。
学生の時にも教わった事があるかと思いますが、構成は「序論-本論-結論」の3本立てが原則です。
「序論」でテーマに対する自分の答え・考えを定義し、「本論」でその根拠を積み上げて、「結論」でまた自分の答え・考え方に帰結するという形です。
この3部構成の中で一番重要なのは序論です。
序論では自分のテーマに対する自分の答え、考えを定義すると書きましたが、ここでいかに興味を引くメッセージを発信するかが、本論以降に読み手を引っ張っていけるかの分かれ目となります。
その後の本論は文字制限に合わせて積み上げる事実、根拠の量を調整してください。
そして最後の結論では、可能な限り受験企業との関連性や志望動機に結び付けるようにまとめてください。
就職試験作文の例文
「学生時代に頑張った事」をテーマにサッカー部の経験を書くと想定をし、「序論」「本論」「結論」を以下の様に部分的に例文にしてみました。
序論
私には大学までの10年間一貫して続けてきたサッカー部で培われた忍耐力があります。
注意ポイント
確かにテーマは学生時代に頑張った事とありますが、このテーマは頑張った事から受験者が何を得たのか?ストロングポイントがどこなのか?を聞いているのです。ここでは10年間サッカーを続けた事よりも、それによって培われた忍耐力をストロングポイントとしてアピールすべでしょう。
本論
私は小学校4年生からサッカーを始めました。背も低く、足もそれほど速くない私は中学3年生までは控えの選手であり、後輩にまでレギュラーを取られるほどでした。当然の事ながら、高校ではサッカーを辞める事も考えましたが、先輩からの誘いもありサッカー部に入りました。高校でのサッカー部生活ではレギュラーになる事を改めて誓い、朝は6時に登校し部活に行き、居残り練習も毎日2時間行いました。また試合においてベンチでボールの動き、選手の動きのメモを欠かさず取り続けていきました。
注意ポイント
本論は理由や根拠を積み上げていくのですが、ここはおとぎ話の桃太郎をイメージしてください。小さな桃太郎がどの様なプロセスで鬼を助けられるまでになったかを伝えていきます。具体的な数字などを用いて努力の積み上げなどをアピールしていくのです。
結論
居残り練習、試合のメモを繰り返す中で試合の中においてスペースを誰よりも早く見つける能力がついた私は遂に高校3年時にレギュラーとなり、チームも県大会に出場できるまでになった。~私は県大会に出場できる様になった実績よりも自分の弱みを理解しそれを克服するまで諦めない忍耐力が一番の強みだと考えています。御社に入社をしてからも、自分の課題に向き合い対処をしていける人間です。
注意ポイント
序論に帰結をすると共に、改めて厚みを持たせます。そして入社をしてからの強みに関連性を持たせて文章を終わらせます。
作文を書けるようにする為の勉強法
残念ながら直ぐに作文が上手くなる方法はありませんが、負荷が掛からない方法として一番簡単な勉強法は間違いなく新聞を読むことです。
当然新聞社のネットニュースでも構いません。
読むと言っても隅々まで読む必要はありません。毎日一面を読むだけでも十分です。
基本的に新聞の記事は3部構成になっています。
序論では、見出しとして問題提起、重要な事実を伝え、本論でその背景を説明し、結論で今後の対応事項、懸念事項などが書かれています。この3部構成を覚えることで、どの様な手順で文章を書けば良いかが身につきます。
また自分が気になる事や、思ったことを文章に400字程度でまとめるという訓練を行う事で作文の完成度は上がって行きます。
毎日書くのが難しい場合は、1人で歩いている時に1分程度で考え文章を1人で話すというのも良いでしょう。(恐らく1分で400字程度です)