フリーターの方には夢を追って正社員として就職できなかった方が多数おられます。
今回は、プロのミュージシャンを目指し35歳までバンド活動をしていた金田さんに就職活動の体験談を書いていただきました。
バンドマンの就職活動 夢を叶えられなかった青年
私は現在、35歳の男性です。地方の大学を卒業し、すぐに上京した私にはある夢がありました。
それはバンドで成功するということです。しかし一緒に上京した仲間3人とともに東京で一旗あげようと誓ったものの、現実はそう甘くはありませんでした。
あっという間に5年が経ち、ひとり、またひとりとメンバーが抜けていき、とうとうは私だけが残ってしまいました。結局、私も限界を感じて、音楽活動をやめることになりました。
そして、就職することに決めたのです。しかし、ここにも現実の高い壁がありました。なかなか就職することが叶わなかったのです。
求人募集をしている会社は多いが……
就職活動の際には、求人サイトやハローワークなど、就職支援をしてくれるあらゆるものを利用しました。正直申し上げると、働いてくれる人を募集している会社はいくらでもあります。
高望みせず、就きたい職種を絞りすぎなければ、就職する可能性は高まると今でも思っています。私はどうだったかというと、自分で自分の就職できる可能性を縮めていました。
営業はしたくない、残業はないところがいい、土日が必ず休めるところ、などとあれやこれやと条件をつけては、求人募集をしている会社の選別をしていたのです。
当然、私と同じように就職活動をしている人がいるわけですから、ライバルもそれだけ多いのです。なるべく楽な仕事に応募しては、書類選考で落ちるということを繰り返していました。
夢を追いかけていた時間をバカにする面接官
職種を絞って就職活動をしていたことを反省した私は、興味のない仕事だったとしてもとりあえず受けてみようと思いました。求人募集をしている会社に片っ端から応募していったのです。
しかしそこには屈辱的な出来事が待っていました。
とある会社の試験を受けたときのことです。書類選考をパスした私は面接を受けることになりました。
面接官は私の履歴書を見るやいなや、大学を卒業してから今まで何をやってきたのか尋ねてきました。私は、アルバイトをしながらバンド活動を行なっていたことを正直に伝えました。
すると面接官は鼻で笑ったのです。
「無駄な時間を過ごしたわけですね」
その面接官の言葉には傷つきました。自分の今までの人生を完全に否定された気分になったのです。
私はバンド活動をしてきた時間が無駄だったとは思っていません。
何も考えずに、当たり前のように就職して満足するような人間とは違い、自分にとって幸せとは何かを考えに考えて、音楽の道に進もうと必死になっていた時間だったのです。
しかし、成功しなければ、他人にとってはただの無駄な時間のようです。何も理解されようとは思いませんが、あまりにもバカにした面接官の態度を許すことができず、私は途中で席を立ち、会社を後にしました。
自宅に帰り、ひとりで泣きました。そして、あの面接官を見返すような人生を送ることを固く誓ったのです。
新卒のほうが就職に有利?
あの屈辱の面接のあとも、私は就職活動を続けました。しかし、結果はどれも同じで、不採用でした。そこである疑問が私の頭の中に浮かんできました。
それは「新卒のほうが就職に有利なのか」ということです。
私のようにフリーター生活を送っていた者は、就職に不利ではないかと考えるようになったのです。夢を追いかけた時間は就職せずに逃げていた時間だと捉えられていたのかもしれません。
あくまでも私見なので本当はどうなのかはわかりませんが、あまりにも不採用が続いたので、そう思わざるをえませんでした。
ついに就職が叶った日
就職試験を受けること、合計20社。ついに私は念願の採用を勝ち取ることができました。そこは、とある不動産の会社でした。
面接時にはこれまでと同じように、今まで何をしてきたのかを聞かれました。そこでも正直にバンド活動をしてきたことを伝えました。
またバカにされるのかと思っていましたが、今回は違いました。
その面接官も私と同じように、音楽の世界で成功しようと夢見ていた時期があったのです。好きなミュージシャンのことなど、話は盛り上がりました。
そして、最後に「私は夢を追いかけている人を否定しない」と言ってくれたのです。
世の中にはいろんな人がいる者です。夢を追いかけることは無駄だという人もいれば、肯定してくる人もいるのです。必ず、自分を認めてくれる人はいるのだと実感した瞬間でした。
志し半ばで夢をあきらめた方に向けて伝えたいことがあります。人生を悲観しないでください。
たとえ多くの就職試験で不採用になったとしてもあきらめる必要はありません。何社も受ければ、かならず自分のことを理解してくれる会社に巡り会うことができると、私はそう思っています。
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