「転職のタイミングは3年目」
あなたはこんな言葉を聞いたことがあるでしょうか?入社してから3年目に転職を考える方は実に多いのです。
しかしもしあなたが今会社に勤めて3年目に差し掛かり、仕事に嫌気がさし転職を考えているのなら少し待って下さい。
転職をする際は、デメリットをしっかり把握してから行動するようにしてほしいのです。
デメリットを知っても尚問題ないと考える方にとっては、背中を押す形にもなりますが、一生のことですので冷静に判断して決めるようにしましょう。
今回は「転職のタイミングは3年目が最も多い」「3年目で転職するメリット・デメリット」「もう少し頑張るべきか、さっさと転職すべきかを決めるには」について解説させていただきます。
3年目を機に転職を考えるのは皆同じ
厚生労働省が平成28年に発表した新規学卒者の離職状況データによると、平成25年3月に卒業した新卒者の3年以内の離職状況は、高校卒業者が40%以上、大学卒業者が30%以上と、ともに高い数字で、3年以内に辞めている方が非常に多いことが分かります。
またマイナビが転職者に行ったアンケートでは、1年目より2年目、2年目より3年目に退職した者が多く、4年目以降は退職者の数がぐんと下がることも分かり、3年目の退職者が最も多い結果となりました。
ではなぜ3年目で転職を考える方が多いのでしょう?
これには様々な理由がありますが、3年という期間は会社で転機が起こる時期でもあるからです。
パターン1、3年目から仕事量が増えた、仕事に飽きた
1年目の仕事は誰しも辛いもの。
学生と違い社会人としての責任感も増し、慣れない環境に身を置かれ、プライベートな時間も減ります。誰でも一度や二度は仕事を辞めたいと頭によぎったことでしょう。
しかし3年も経てば業務にも慣れますし、仕事の楽しさも少しは感じれるようになる筈。
なのに何故辞めたいと思うのか。
それは3年目は仕事が大変になる時期でもあるのです。
真面目に仕事をこなし成果を出していれば、3年目は主任に任命されたり一部の部下の統率を任される時期。
大して給料は上がらないのに仕事量だけが増え、新入社員より帰宅時間も遅くなることが多いです。
「我慢したのに3年目の方が辛い!」こう考え、仕事を辞めようと決心する方は多いです。
また業種や職種によっては、同じ作業の繰り返しに飽きがきてしまう方もおられます。
パターン2,3年経っても仕事ができない、良さが分からない
また3年経っても仕事ができず退職を決意する方もおられます。
1年目は仕事ができなくても許されますし、本人も納得がいきます。石の上にも三年という言葉もあります。
しかし三年我慢して頑張ってみても一行に仕事ができなかったり辛いだけだと、辞めようと決心する方は多いです。
自分はこの仕事に向いてないと判断する上で3年という期間は1つの指標となるのです。
パターン3、会社の方針や社員に対する考えが分かるから
3年目で一度立ち止まる理由に、会社の方針や社員に対する考えがはっきり分かるという理由もあります。
3年経てば自分の会社がこの先大丈夫なのか、また社員をどのように扱うのが分かってきます。
幸先不安な会社や、いつまでたっても昇給昇格がなく安月給で働かされている場合、このまま続けていても未来はないことに気付き、3年目を節目に退職を決意します。
3年という期間は自身の実力が試される期間だけではなく、会社の信用を量れる期間でもあるのです。
3年目で転職するデメリット
個人的理由を含めれば他にも理由はありますが、3年目を境に転職を考える方は主に上記3つのいずれかに当てはまるのです。
ではここからは、もし3年目で本当に転職した場合のデメリットを見ていきましょう。
3年目で転職のデメリット
- 給料が上がる機会損失
- 積み上げた信用が0に
- 新人から始める大変さ
- 転職先はすぐに見つからない可能性がある
給料が上がる機会の損失、積み上げた信用が0になる
3年以上同じ企業で働けば、仕事にも慣れ回りもよく見えてくる時期。かなり働きやすい環境といえます。
またそのまま働いていればキャリアも積み上がり、自然と給料も上がっていきます。
もしこのタイミングで転職すれば、せっかく積み上げた信用も0に。
再就職先では1から始めなければなりませんし、しばらく給料が上がることもないでしょう。
3年目で辞めることは給料が上がる直前だったのに、機会損失になってしまうことがあるのです。
新人から始める大変さ
少し重複しますが、他の職場で新人から始めなければならない為、今とは違う苦労を味わう可能性は高いです。
今の仕事のような「慣れている辛さ」と、新しい職場で「右も左も分からない辛さ」では、断然後者の方が大変でありストレスも大きいです。
その覚悟がないまま転職してしまうと後悔することになるのです。
転職先がすぐに見つかるとは限らない
転職先がすぐに見つかるとは限らないのもデメリットの1つです。
ですので、必ず在職中に転職先を見つけてから退職されることをおすすめします。
3年目に転職のメリット
ではここからは3年目に転職することで起こるメリットを見ていきましょう。
3年目で転職のメリット
- 退職金を貰って辞めれる
- 3年は転職に有利になる期間
- 同業なら年収UPの可能性がある
- 新卒枠・第二新卒枠として転職できる人もいる
3年目以降は退職金がでる企業が多い
企業の考え方や契約によって多種多様ですが、勤続3年以降から退職金が発生する企業は多いです。
せっかく2年働いたのだから、退職金を貰う為にも後1年頑張ってみようと3年目になってから退職金をしっかり貰った上で辞める方が多く、本当に嫌な仕事なのであれば、この時期に転職するのがベストともいえます。
転職先で職歴として有利になるから
転職市場で3年目という期間はとても大きな意味を持ちます。
1年目や2年目は短期職歴とみなされることも多く、アピール力は強くありません。
しかし2年以上働いたという事実があれば、相手先企業もそれなりに安心して雇用できます。
例え実際は仕事ができなく退職していたとしても、2年働いていたのだからそれなりのスキルはあるだろうと即戦力での雇用が期待できるのです。
応募資格に「○○の経験2年以上の方」としている企業も珍しくありません。
ただの数字だけで恩恵をうける可能性があるため、3年目を目途に転職を考える方は多いのです。
スキルとして利用できる・年収UPも可能
また3年勤めていれば、本当にスキルが備わっている方がほとんどです。それを他の企業で生かすことができます。
結果今の会社よりも良い企業に就職できたり、今より良い役職に就くことも可能ですので、年収アップにつながるという意味でも効果的です。
新卒枠・第二新卒枠として就職活動を行える
新卒から4年が経過すると、過半数の企業では中途採用での採用となります。
第二新卒は定義が曖昧で、20代中盤までをそのように扱うという企業もありますが、一般的には大学卒業から3年以内を第二新卒と呼びます。
つまり3年目で退職した場合、第二新卒枠として就職活動を行える為、有利に働きかけるのです。
また最近では卒業から3年目までを新卒として扱う動きもありますので、新卒枠として応募することも可能であり、選択肢の幅は大きくなるのが3年目で転職するメリットです。
もう少し頑張るか?さっさと転職するか?3年にこだわる必要はない
3年目で転職するデメリットとメリットについて見ていただきました。
ただここで注意したいのが3年という数字にはそれ程こだわる必要はないということです。
先程申し上げたように、企業の求める人材が「実務経験2年以上」としていることが多いのを理由に、3年目まで頑張ったら転職しやすいと考える方もいますがそれは間違いです。
たしかに3年間務めていたのだから、ある程度の知識は持ち合わせているだろうしスキルは備わっているだろうと企業は考えます。採用の一つの判断基準になる事は間違いありません。
年数も大事だがスキルも重要
でも少し立ち止まって考えてみましょう。
転職は結局、何がしたいかと何が出来るかです。
あなたがしたくない仕事に転職しても続く筈がありませんし、転職先が同業種とはいえ、3年間全く関係のない業務をやっていたり不必要なスキルを持っていた所で企業も採用したいとは考えません。
逆に言えば一年や二年しか経験がなくとも、必要スキルを全て持ち合わせていて実力があれば、企業は採用したいと考えます。
ですので必ずしも3年転職説を鵜呑みにしないようにしましょう。
3年目にして転職が頭によぎっている方は、もう一度立ち止まってメリットとデメリットを比べてみて、本当に必要な転職か考えて下さい。今の仕事を続ける方がベストな可能性も十分あるのです。
もし今の仕事に不満だらけでこれ以上修正が見込めない場合や、将来性が危ういと感じる場合、また心から更なる上を目指したいと考えるなら転職しましょう。
その場合は退職してから就活するのではなく在職中に転職すれば、デメリットをできるだけ回避することができます。
中途採用になると即戦力が求められます。いずれ転職をするなら早い内にするように心掛けましょう。
全く違う業界や職種に飛び込む場合、ポテンシャルで採用を判断してくれるのは20代までです。