ネット社会である昨今、就活生はたくさんの情報を事前に得られるようになりました。
「企業の悪い噂」から「面接のコツ」「質問の回答例」まで、様々な情報が用意されており、「対策」が容易になっています。
この流れは受験者にとっては喜ばしいことですが、合否を決める面接官にとっては「本音でその意見を言っているのか?」「自分の考えなのか?」の判断がつき辛く、適性を見極められないのが現状です。
そこでSNSを確認し、受験者の本音を探る企業が増えています。
今記事では、人事担当者である私が「受験者のSNSのどこに注目しているのか」について解説致します。
「SNSの内容によって合否の判定が変化する可能性」や「SNSの上手な活用法」についても解説するので、是非参考にされて下さい。
就活において人事はSNSをチェックします
企業側が受験者を評価するプロセスは「履歴書・職務経歴書など書類」「直接の面談」「適正テスト」「エントリーシート」などを中心に行います。
これはどの企業においても大原則です。
しかし、人を雇うのは企業にとってメリットである一方、問題のある人間を雇ってしまった場合デメリットにもなります。今の法体系の中では、簡単に解雇できないのです。
また個人情報保護などの観点から、面接ではプライベートな部分について本人に確認する事もできません。
つまり本人の発言が全て信用できない場合において、その確認をSNSを通じて行う事があります。
確認する代表的なSNS 「Twitter」「Facebook」「Instagram」
受験者の名前から「Facebook」「Twitter」「Instagram」などのソーシャルメディアで検索をし、その内容を調べていきます。
ただし、これらはあくまで確認程度。
それも部長面接、最終面接レベルに候補者が絞られた段階で行うことが大半です。
数百人以上の採用を予定している企業は、受験者が一万人を超える事も珍しくありません。
履歴書、エントリーシートを見るだけでも大変な中に、受験者のSNSチェックを細かく行うのは、人事にとってもかなりの手間になりますので、限定的なものだと思ってください。
ただし人事が見ていなくても、面接後、他の社員がTwitterのつぶやきを見つけ、採用取り消し寸前までいくというニュースも過去にはありました。
何処から知れ渡るか分かりませんし、「○○の企業は見ている、○○は見ていない」と判断するのは不可能なので、基本的にはSNSは見られていると考えて下さい。
SNSで受験企業に対する考え方や、他社の選考状況を見ている
前述の通り、SNSは斜め読みする程度の企業が圧倒的に多いです。
しかしながら、その中でも「具体的な受験企業に対する考え方」「他の受験企業状況など、就職に関するもの」については、目をつける事があります。
面接では「御社が第一志望です」と言いながら、SNSでは別の会社が第一志望であると、堂々と語る受験者も珍しい事ではありませんので、、、.。
SNSの内容で不採用になることは基本的に無い
SNSの内容で受験者の評価が変わる事は基本的にはありません。
それは面接を中心とした企業選考過程での評価が、第一優先であるという前提に立っているからです。
しかし、前述の様に「他者受験情報」、「本当の志望企業」、もしくは「受験企業への誹謗中傷」などがあった場合には当然の事ながら、評価は下がります。
NG内容1 企業の悪口
当たり前ですが、企業の悪口や批判はNGです。見つかればほぼ不採用は確定です。
企業名を書かなくても面接日と照らし合わせばバレてしまうかもしれません。伏せ字などを使っても見つかるケースがあります。
ネガティブな内容は極力控えましょう。
NG内容2 非常識な行動
若者や大学生のニュースでよく見る「飲みすぎて羽目を外した類の行動」「常識を超えた行動」など「違法的な行為」は全てNGです。
SNSは仲間内だけのものと勘違いして発信しているケースも多いですが、世界中全ての人に見られているということを頭に入れておきましょう。
NG内容3 面接とかけ離れている
面接では丁寧で真面目な印象だったのに、SNSのつぶやきを見ると性格があまりにもかけ離れている人。人事にとっては準備したものだったんだとがっかりしてしまいます。
もちろん人間なので浮き沈みはありますし、様々な感情があって当然です。ネガティブな発言をする事は悪い事では全くありません。
しかし不必要に攻撃的だったり、反社会的な内容は避けましょう。
これら3つ以外の「フォローワーが多い、少ない」「いいねの数が多い、少ない」などについては評価に影響しません。
正直、人事担当者はそこまで見ていられません。
就活においてSNSをやってない場合
「SNSをやってない場合、企業にどう思われるのか?」「アピールできないので不利になるのか?」
そう考える方も多いですが、人事担当者としてはSNSで情報が取れればラッキー程度なので、SNSの利用が採用の合否に影響することはありません。
投稿内容に鍵がついていたとしても、限られた交友関係で共有したい事象があるのは当然のことと考えています。
冒頭でもお話をしましたが、個人情報が取りづらい今日において、それを垣間見られるのがSNS。
しかしながら、個人情報的なSNSを根拠として判断材料にするのは、人事担当者の本音として気が引けますし、避ける事が求められています。
SNSだけじゃない 本名とメールアドレス
SNSだけ注意すればいいと考える方も多いですが、GoogleやYahooの検索も注意が必要です。
検索エンジンで、本名やメールアドレスを調べてみる企業も多いです。
また、今日行われた面接内容に不備がなかったか、知恵袋や5chなどの匿名掲示板で相談される方もおられます。
本人は全く悪気なしですが、面接内容を事細かに書いてしまう方が多いです。
ある程度伏せながらなら問題ありませんが、特定出来る範囲だとネットになんでも漏らしてしまう人という印象を受けるので、注意が必要です。
就活におけるSNS対策
人事担当者として本音をお話しますが、SNSをやるのも、やらないのも、自由です。投稿内容についても然りです。
ご自分のプライベートを友人にSNSを通じて発信し、共有するというシステムなのですから、就活を意識する必要などありません。
「○○に行った!」「××食べた!」自由にされれば良いと思います。
しかし、それに制限を掛けなければ、誰にでも見えてしまうのがSNSの怖さでもあります。
そこには利害関係者が居るかも知れません。
受験企業の悪口を書けば、受験企業の人事担当者は良い気はしません。
当たり前の話ですが、悪口は聞かれない様に言うべきです。逆に言えば聞かれなければ悪口にはなりませんよ(笑)
もし本当に有効活用する術があるとすれば、世間のニュースに対して自分の考え方を載せるのは、面接以外での個人の自己PRにはなるかも知れません。
社会情勢に対してしっかりと考えも持っていると評価される可能性はゼロではありません。
しかしこれも同様にヘイトスピーチ的な極端なものでは懸念事項を残すだけです。
メディアの発達は本当に怖いほどの状況です。
一瞬で多くの人に情報を発信できて、多くの方がそれを共有できる時代です。
しかしながら、我々人事担当者が一番知りたいのは、受験者の総合的な人間像です。社会には様々な価値観を持った人間で成り立っています。
付き合う人間を選ぶ事ができないのが、社会の難しさであり、楽しい部分でもあります。
その社会人になる為の適性を確認するのが、採用試験だと思います。
基本的には採用試験はその枠の中で判断をされるべきものです。SNSとの関連性に踊らされるよりは、受験企業に対するリサーチを進めるなどして、採用試験内での成果を上げる事に考えを至らせるべきでしょう。