大学や大学院を卒業しているのに、就職できずに無職になってしまう。
近年では減少傾向にありますが、文部科学省の学校基本調査によれば、平成29年度の大学卒業者が約57万人に対し、正規就職者の割合は約42万人、非正規就職者の割合が約2万人、無職者の割合が約5万人と、無職者の割合は約10数%を占めています。
また3年以内に退職し、無職になる者を含めると、この数は更に膨れ上がります。
つまり逆を言えば、大卒で無職やフリーターになることなんて珍しいことでもないのです。
勿論、最終目的が正社員として働くことであれば、就職できているにこしたことはありませんし、空白期間も無い方が良いです。
ただ仮に空白期間ができてしまったとしても、「人生が終わった」と諦める必要なんてどこにもありません。
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私の場合は31歳まで正社員職歴がなくフリーター生活を送っていましたが後悔なんて一切していませんし、その後しっかり職に就くこともできました。
今回は、大卒無職になっても後悔しない考え方、「既卒はなぜ採用されないのか?」、「大卒」という就活切符の効果、正社員への逆転就活法についてお話させていただきます。
後悔しなかった理由と大卒が就職できない理由
大卒で無職やフリーターになっている方には2種類います。
Aのパターンは、「就活で全社全滅だった」「第一希望の採用面接が終わった所で燃え尽き症候群になってしまった」「家庭の事情により就職ができなかった」「一度は就職したが仕事が職場が合わなかった」など、本人が希望せずに無職になってしまった方。
Bのパターンは、「夢があり就活とは別の道に進んだが夢破れた」「第一希望以外は興味がなかったが採用されなかった」など、ある程度は本人が希望して無職やフリーターになった方です。
結果は同じでも自ら選択した場合は後悔が少ない
そこで、AのパターンとBのパターンそれぞれの方々に対し、「フリーターや無職になったことを後悔しているか?」とアンケートを実施した所、「後悔している」は圧倒的にAの方に多く、Bの方は「どちらかというと後悔していない」と答えた方が大半だったのです。
私自身もBのパターンですが、当時も今も後悔は一切ありません。
AもBもどちらも「大卒無職・フリーター」という結果は同じで、立場も全く一緒。ただ過程が違うだけでこれだけ変わるのです。
要するに気持ちの持ちようだけの問題であり、後悔している時間が勿体無いくらい、どうでもいい部分なのです。
ですから、無職になってしまったことを強く後悔されている方もこのマインドを持ってから、以下で紹介する就活に取り組まれて下さい。
余談
少し余談になりますが、無職になるほとんどの方は大学までは順調に進学できた方であり、優秀な方も多いです。
場合によっては頭脳明晰で高学歴でありながら大卒無業者になる方もおられます。
本人の問題も勿論ですが、社会にも問題はあります。
大卒者数の増加に対し、企業数はそれ程変わらないこと。また新卒至上主義・即戦力至上主義の日本では、一度正社員雇用への道を踏み外してしまうと戻るのに苦労します。
一度違う道に進んだとしても選択肢が多く残っていれば、いくらか無業者の総数は減るのですが、現状変化はありません。
若者支援をしているNPOもありますが、一般レベルではまだまだ認知されていない状況です。
そんな日本は大卒無業者を作りやすい社会システムとも言えるのです。
なぜ就職できないのか?大卒の効果
ではここからは、現在無職やフリーターから就職活動をしている方が「なぜ就職できないのか」について見ていきましょう。
今まで一度も正社員就職したことがない方が就活相談をする時に多いのが、「親が大学くらいは出ておけと言うから卒業したのに、就活で一切役に立たない」という言い分です。
私も当時は自分が持っている切り札は「大卒」だと思いこんでおり、それを企業に大きくアピールしていました。
しかし面接で大学時代について触れられる事はほとんどありません。
新卒なら大学で学んだ事や学科の内容・サークル活動も話題に上がりますが、30歳フリーターでは話に上がる筈もありません。
どれだけ大学時代勉強していようが、サークルで活躍していようが、その後の空白期間の方が長く目につくからです。
それよりも、その企業に関連するスキルをどれくらい持っているか、要は今すぐ使える人材であるかを重点的に質問するのです。
POINT中卒・高卒・大卒・大学院卒と学歴が上がる程、就職が有利になる事は間違いありません。
しかしそれは新卒、もしくは卒業後数年までです。
卒業していても、23歳、24歳、25歳と年齢が重なる毎に効果はどんどん薄れていき、20代後半に差し掛かれば「大卒」は紙切れ同然になってしまいます。(但し応募資格を「大卒」としている企業も多いので、高卒や中卒の方に比べると多少は有利です)
学歴よりもスキルがあるか
では「今すぐ使える人材」とはどのような者なのでしょうか?
例えば「販売職」ならアルバイトにおける接客業経験の有無、「WEBの仕事」ならPCのタッチタイピングが可能か、ワードエクセル・Photoshopの使用経験など。
「配送業」ならコミュニケーション能力や運転経歴などが当てはまります。
つまり業務で即戦力となりうるかどうかを多く質問され、それ以外はテンプレートとも言える「自身の長所や短所」「この会社を志望した理由」「バイトで学んできた事」などであり、大学に関してはほとんど重要視されません。
大卒無職・フリーターからの逆転就活法
ですから大卒無職の方や大学卒業後フリーターの方が就活をする方法は2点しかありません。
「即戦力を身につける」か、「即戦力がほとんどいらない、もしくは重視しない企業を選ぶ」かです。
「即戦力を身につける」場合は、まず仕事を設定し、それに必要なスキルやキャリアを書き出し、アルバイトや派遣で身につけてから正社員を目指す方法です。
話が前後しますが、即戦力を重視しない企業に正社員として入社し、そこで一定期間働き即戦力を身につけてから、転職するという方法もあります。
「即戦力がほとんどいらない仕事」は「営業・販売・介護・飲食・IT・製品機械の検査・配送」等が挙げられます。
これらの仕事を無職向けの転職サイトで探し応募すれば、短期間での採用も可能です。
また今挙げた職業以外にも「即戦力を重視しない企業」というのが存在しています。人物重視の企業や、研修で学んでくれればいいと考えている企業です。
しかし正直な所、こればかりは求人票やWEBサイトから判断するのは難しく、何度も面接を重ねて見つけるしかありません。数を撃つ方法です。
もしくは転職エージェントに即戦力を重視しない企業を紹介してもらう方法もあります。
転職エージェントは在職中の方が転職する際に、採用率を上げたり給料を上げたりする為に利用するものなので、既卒の方には馴染みがないかもしれませんが、最近では既卒向けのエージェントもたくさんあり、質も高くなってきてるので利用者もとても多くなっています。
企業紹介から面接対策、交渉など全て無料で利用できるので一度利用してみるとよいでしょう。
現在無職の方は「即戦力を身につける」か、「即戦力がほとんどいらない、もしくは重視しない企業を選ぶ」かの2点を意識して就職活動をされて下さい。
職歴なしの就職活動の進め方