「正社員と聞いていたのに、入社したら契約社員だった」
「月給30万以上可能と聞いていたのに、毎月18万しかない」
「給料20万円(月20時間の残業代を含む)と書いていたが、実際は毎日5時間残業。超過分の残業代は支払われない」
これらは全て実際にあった話で、求人票には虚偽の内容が書かれていました。
厚生労働省の調べでは、2017年度にハローワークの求人に虚偽があったと相談された件数は8,500件にのぼります。
ハローワークにおける求人票の記載内容と 実際の労働条件の相違に係る申出等の件数
求人票と相違があったから、再び就職活動を・・・なんてことは出来るかぎり避けたいもの。
では求人票だけでは分からない仕事環境を理解するには、どうすればいいのでしょうか?
今記事では、企業の現人事が「求人票の嘘に引っかからない為の見分け方」を解説させていただきます。
また、「よくある誇大広告表記」「虚偽が少ない求人媒体」「求人票の虚偽の違法性・罰則」「入社して嘘が発覚した場合、退職しても問題はないのか」についてもお話させていただきますので参考にされて下さい。
求人票って嘘だらけなの?
企業が人を募集するとき、まずは「職種」「スキル」など業務上の要件を確定させます。次に「給与を中心とした待遇面」を取り決めていきます。
そして「求人票」という形で、WEB・求人誌・ハローワーク・チラシなどに掲載されます。
これらの求人票は全て嘘だらけかと言えば、それは違います。
正確には、求人媒体によって異なるのです。
虚偽が多いハローワークの求人票。よくある誇大広告
虚偽が多いと有名な媒体が「ハローワーク」や「チラシ」の求人票ですが、嘘というより「誇大広告」的な要素が中心です。
「頑張り次第で高収入も可能!」「月給\200,000~500,000」「社会保険完備」などの記載を一度は目にしたことがあると思います。
これらは確かに嘘ではないのでしょうが、いきなり月収50万を得るには、どれだけ働けば良いのか?と疑問を持ちます。
求人票によくある誇大広告
- やる気次第で高収入も可能!
- ○○時間分の残業手当を含む
- 月○○日休み
- 自由度が高い仕事!
- プライベートの時間を楽しむことができる!
- 社会保険完備
冒頭でも述べたように、「月収30万円(○○時間分の残業手当を含む)」などの記載は、みなし残業手当として計算されています。
実際の現場では○○時間以上の残業があるのに、超過分は支払われてないことが多いのです。
「○○日休み」の表記も、実際に達成されるのは1年の半分の月だけであり、残り半分の月はそれより少ない日数しか取得できないのです。
社会保険完備と書いていて、社員誰一人として入っていないケースもあります。
これらの表記がある場合、必ず嘘というわけではありませんが、誇大広告かもしれないと疑って下さい。
「アットホームな職場です」は地雷?求人のNGワード
「アットホームな職場です」とアピールしている企業の実情は「楽しく働きがいのある人間関係良好な会社の場合」と「なぁなぁでプライベートの時間がないブラックな会社の場合」の2種類に分かれます。 またアピール ...
続きを見る
誇大広告は減少傾向にある
「休日」「時間外労働」「社会保険への加入要件」などは本来法律で取り決められています。
単純に時間外労働については組合との協定が必要ですし、2019年からはその上限が決められます。
そういった信憑性の低い求人で人を集めたとしても、これからの時代は厳しく労基署等で監視されていきますので、状況が変わっていくとも想定されます。
冒頭でも出した「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」は年々減少しています。
平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | |
申出等件数 | 12,252件 | 10,937件 | 9,299件 | 8,507件 |
新規求人件数 | 5,553,055件 | 5,835,295件 | 6,161,398件 | 6,468,438件 |
(ハローワーク求人票と実際の労働条件の相違申出件数が3年連続で減少)
求人票に虚偽の掲載をしたら30万円の罰則。違法となるが・・・
今まで求人票に虚偽の内容を記載しても良しとされていた理由には、法的な拘束力が非常に低かったことが影響しています。
2018年1月からようやく職業安定法の一部が改正施行され、虚偽の募集情報を出した企業は30万円以下の罰金など刑事罰の対象となりました。
しかしながら虚偽であるかの確認作業を、ハローワークが個別に調べられるかというと、かなり難しいと思われます。
また法的に求人票には100%の雇用条件明記は求められておりません。求人票に記載されるのは、募集の「目安」というのが、厚生労働省の考え方だからです。
現時点では、罰則を課すのは少しハードルが高いのです。
ただし募集要項と入社時の雇用条件にあまりに違いがある場合には、「ハローワーク」や「求人誌」などに直接その旨を伝える事で、何らかの指導が入る可能性は高いです。
大手転職サイトなどではその様な事例が発覚した場合、企業側へ掲載不可の要求が入ります。
昨今では掲載内容の精査を要求されますので、転職サイトなどに募集要項を掲載する場合、人事担当者もかなり気を使っているのが現状です。
求人票の嘘の見分け方
1、求人票から読み取る
前述しましたが、虚偽の求人内容があると思われる項目は3つあります。
一つ目は「基本給の幅があまりに大きい場合」です。
基本給が「¥200,000~¥500,000」など表記されていたら、その求人は避けるべきでしょう。この様な場合は、勤務日数や年齢における給与モデルなど、何かしらの指標を求める様にしてください。
二つ目は「要相談事項が多い場合」です。
企業は募集時にある程度のシミュレーションをしているはずです。
それにも関わらず「要相談」ということは、募集をしてくる人物によって条件を変更させる可能性があります。これはある意味非常に性質が悪いです。
三つ目は「いつも求人を行っている」場合です。
この場合は当然の事ながら、人が定着しない為に常に求人を行っていると想定されます。
このケースは第三次産業(小売業・飲食・サービス業・運輸業など)に多く、人員が定着しない根本的な問題解決に至らないために、常に対処的に求人をしている事が多いです。
2、転職サイトの利用、もしくは人材紹介会社のカウンセラーに聞く
個人的には、本気で受験企業の雇用条件を確認する気があるのであれば、大手の転職サイトや人材紹介会社を利用し、カウンセラーと話す事をお勧めします。入社してからでは遅すぎますからね、、、。
WEBの転職サイトで掲載されている「求人票」はかなり信憑性が高いです。
これらのサイトは企業が費用を払って掲載している上に、掲載情報についても、しっかり精査されているからです。
前例として求人票に誤りがあった場合は、転職サイトも企業に注意を行ないます。悪質な場合は取引しません。
費用を払っている時点で、本気で人材を確保し長く働いてもらいたいと考えている企業ですから、その内容は信じられるものである可能性が高いと判断できるのです。
フリーター向けの転職サイト
編集部この記事では、既卒(職歴なし・フリーター・ニートなど)が就職活動をするときの注意点と、登録必須の転職サイトをご紹介します。 紹介するフリーター就職媒体 ①転職エージェント 【30歳 ...
続きを見る
転職者向けの転職サイト
編集部「転職サイト」「転職エージェント」利用者に5点満点で満足度を評価してもらい、口コミ体験談を書いていただきました。 このページは、それら口コミの平均をランキングにしたものです。 ポイント 当サイト ...
続きを見る
また、一人一人に担当者がつき、仕事を紹介してくれる人材紹介会社なら、他にもたくさんのメリットがあります。
人材紹介会社のメリット
- 採用決定までのアシストがある
- 以前トラブルがあった企業の場合は、そのことを求職者に伝える
- 大手であれば全国の支店から求人紹介がある。求人数が豊富
- 応募企業の就業環境の情報量が多い。また企業に直接聞けないことも分かる
- 各職種に関して専門的な知識があり、求職者のキャリアプランの相談もしやすい
- セミナーや講習会の実施も豊富(一部、有料あり)
人材紹介会社の使い方と流れを解説
転職活動をする際には、(1)ハローワーク(2)企業HPなどから直接応募(3)縁故(4)(エージェント以外も含め)人材会社を経由の4つが主な手段となります。 大都市の首都圏や、大阪、名古屋は(1)~(3 ...
続きを見る
ただし転職サイトや人材紹介会社もハローワークと同様、その求人が正確かどうかの検証は出来ません。
人材サービス会社の人間もそこで働いているわけではないからです。
誇大広告の可能性が0ではないことは頭の片隅に入れておいて下さい。
求人票の記載内容が嘘だった場合に退職できるのか?
最後に、誇大広告をしていた会社にすでに入社してしまった場合を見ていきましょう。
通常、企業に内定し入社をする場合には必ず「労働条件通知書」というものが交付されます。
この内容に沿って賃金、休日などが定められていきます。(ブラック企業と言われる企業ではこの交付がない場合もあります)
退職は法律的に2週間前に会社に申し入れる事で成立しますし、その理由は問われません。入社前と全く違う雇用条件であったとしたら、当然辞めることは可能ですので安心して下さい。
しかしながら、交通費、社会保険など企業が前払いをしているものがあった場合には清算をしなければならない可能性があるので気をつけてください。
企業側と求職者側の立場
人手不足が叫ばれる現在、企業は人員の確保に躍起になっております。
この環境に追い討ちを掛けるように、2019年から施行される「働き方改革法案」や、消費税増税などにより、ますます企業はがんじがらめの状況での企業運営を迫られます。
雇用環境においてグレーであった部分に対して国がどんどん線引きを求めてきています。
例えば違法な長時間残業を強いられた方が多かったのも事実ですが、そのグレーな部分で企業運営が出来ていたのもまた事実なのです。
そういった現実を鑑みると日本企業の体力を奪う事も1人の人事担当者としては心配にもなります。
しかしながら、求人票に偽りがあることは、企業側が求職者の皆さまを裏切る行為。
求職票以上の内容を知りたいということであれば、インターネットの口コミサイトや人材サービス会社から知りたいことを聞いてみるなど、出来るだけ多くの手段を取ってみてください。
就職活動は動くことも大事ですが、動くまえに準備することも同じくらい大事です。ご自身で満足するくらい準備をして、ぜひ就職活動に臨んでください。
転職サイトVSハローワークVS人材紹介会社
「職歴なしから、どうやって就活をすればいいのか分からない。というか、既卒はどんな仕事に就けるの?」 「転職サイト・ハローワーク・転職エージェント色んな媒体があるけど、ニートはどれが利用できて、どれを利 ...
続きを見る