本記事は「求人票と契約書の内容が全く違い、入社日も振り回された。雇用契約を結んだ後でも辞退は可能か」という、女性からのご相談に、2名の専門家がそれぞれの立場から回答した内容です。
就職が決まり雇用契約を結んだものの、届いた契約書が求人票と全く別物だった、入社日も振り回されたという状況は、ブラック企業の典型的なサインです。
「雇用契約後の辞退は可能なのか、損害賠償リスクはあるのか」という不安に直面すると、判断が難しくなります。法的な視点と実務的な視点の両方が必要です。
現役の人事担当者と職業訓練講師の2名が、雇用契約後の辞退の可否、損害賠償リスク、円満辞退の進め方まで、それぞれの専門的視点から回答します。
他サイトやSNSの寄せ集めではなく、当サイトが独自に募集した相談内容に、現役の専門家が直接回答した一次情報です。
回答者は以下の2名です。
この記事に回答した専門家

三上
中堅企業で15年以上の採用・労務管理経験を持つ。雇用契約・労働法・ブラック企業対策に詳しく、相談者目線で具体的なアドバイスを行う。
この記事に回答した専門家

鈴木
ハローワーク併設の職業訓練校で若年者就職指導を担当。雇用契約・退職手続き・労働者の権利についての豊富な知識を持つ。
ご相談内容:雇用契約後の辞退について(女性)
質問
就職が決まり雇用契約も結びました。しかい届いた契約書を確認したところ、求人票とは全く別物でした。
電話で確認したところ「あなたは正社員として雇いたいから、この様な契約で最初は働いて頂きます」という回答でした。
あまりにも求人票と違う内容でしたので不安だったのですが…正社員とはこういうものか??と納得させました。
入社日も決まりましたが…その日直接行って良いのかな??前もって顔出してからの方が良いのかな??分からなかったので電話で確認したところ…「都合の良い日が決まり次第連絡します」と言われました。
しかしいつまでたっても連絡が来ず、結局入社日に直接行きました。すると…「来週からだと聞いているので帰ってください」と門前払いされました。
色々…不安がでてしまい辞退したいと思っています。辞退は出来ますか??
人事・職業訓練講師の回答

労働に関する相談センターやホットライン等を利用
人事 三上
雇用契約を結んだものの、不安要素が多いため辞退したいということですね。
まず相談者様がどのような雇用契約を企業側と結んだのかが不明ではありますが、もし雇用契約の内容と、現在の状況とが全く異なるのであれば、確実に辞退することは可能です。
雇用契約と異なる点があるのであれば、企業側が契約違反をしているからです。
雇用契約書に記載された内容に対して相談者様は同意をしたのであって、記載内容とは異なる内容に関して同意したわけではありません。
また雇用契約に記載されている内容が相談者様にとって不利なものとなっている場合であっても、辞退することは可能とお考えください。
契約違反と責められるのではと不安かもしれませんが、脅し文句(例えば賠償責任が発生する等)が記載されているような契約書であれば、そもそもその内容は不当であるということで、法がきちんと労働者を守ってくれます。
また相談者様のお話を聞く限り、かなり企業側の都合によって振り回されているように見受けられますし、何よりもブラック企業の香りがぷんぷん漂います。
現時点でも、辞退するに相当な条件が整っているように見受けられますので、時系列で今までの流れを整理したうえで、労働に関する相談センターやホットライン等を利用して辞退の手続きを進めていきましょう。
決して自分ひとりでは進めないように。企業側にうまく言いくるめられる可能性が高いですから、辞退するのであればきちんと相談センターやホットラインを利用して進めましょう

円満辞退もしくは退社
職業訓練講師・若年者就職指導 鈴木
せっかく就職が決まったのに、入社前から不安を感じる対応をされることは残念なことです。しかし「雇用契約を結んだ」という事実は重いものがあります。
質問の冒頭に「届いた契約書を確認したところ、求人票とは全く別物」とありましたが、雇用契約を結ぶ前に文面の確認をされたでしょうか。どのような契約でも署名押印をすれば、内容を承諾したという意思表示になります。
したがって、契約後の内定辞退は「契約違反」にあたり、会社から損害賠償等のペナルティを課される可能性があります。
御質問のような経緯であるとすれば、会社の連絡ミスは決して重大なものとはいえず、あなたの一方的な都合による辞退とみられるでしょう。
実際に会社が損害賠償などを求めるかどうかは、あなたの対応によることが大きいと思います。
まず、会社には辞退申し出に至った経緯を丁寧に説明し、迷惑をかけることを詫びて、辞退に対する了承を得て、円満に入社辞退となるよう交渉することをお勧めします。
もし、辞退の交渉ができないようであるなら、一度入社したのち、民法(第627条)で保障されている「退職届」による手続きを行うことになります。
その場合、2週間を経過すると雇用契約は終了することになりますが、入退社の経歴が増えることになります。
人事・コンサルタント・職安相談員への質問・相談
どんな些細なことでも「企業の採用担当者」「転職コンサルタント」「職安相談員」が答えてくれるので、気軽に利用されて下さい。
名前(イニシャル可)、メールアドレス(回答のお知らせをする為)のみで質問可能です。




契約後の辞退は可能?
Y・M 女性