求人情報を見ていると「契約社員」という言葉を目にすることは多いと思います。契約社員という雇用は「正社員」や「派遣社員」「アルバイト・パート」とどのように違うのでしょうか。
今回は、「契約社員とその他の雇用の違い」「契約社員の仕組み」「契約社員から正社員への道」「契約社員のメリット・デメリット」についてお話しさせていただきます。
契約社員とは?
契約社員とは簡潔に述べると、ある一定の期間という条件付きで、正社員と同等の仕事を求められる社員のことです。企業と有期労働契約を結んでいる社員のことであり、その期間は3ヶ月、半年、1年、3年と様々です。
企業と正式に労働契約を結んでいる
契約に期間がある
基本はフルタイムの労働
基本は正社員と同等の給与
基本は社会保険に加入する
契約社員には大きく上記4つの特徴があります。「基本」という言葉は、契約する企業によって異なる為、この限りではないことを指しています。基本的に勤務時間や給与は正社員と同等の場合が多いですが、短い場合や低い場合もあります。
こう見ると、期間を設けている以外正社員と違いがないように見えますが、その他にも契約社員だけの特徴があります。
正社員と契約社員の違い
契約社員と正社員の違いは以下の通りです。
退職金・賞与がないことが多い
転勤がないことが多い
契約更新がある
正社員雇用前提の企業もある
契約社員は人員削減対象の第一候補
将来性の保障が少し低い
責任が少し軽い
契約社員は退職金がない・賞与がないことが多い
まず正社員と大きく違う点は退職金がでないこと、そしてボーナスがないことです。勿論こちらも企業との契約によって変化するものですが、比較的ないケースが多いです。
転勤がないことが多い
また契約期間が定まっているので、違う勤務地へ転勤することも少ないです。
契約更新がある・正社員雇用前提の契約がある
正社員は終身雇用前提の契約ですが、契約社員は一定期間の労働契約ですので期間が過ぎれば退職することになります。しかし、企業側と契約社員が継続を希望した場合、契約更新することもあります。始めは3ヶ月の契約だったとしても、更新を重ねることで結果3年、5年と長い期間働くことも可能です。
改正労働契約法「5年ルール」
また2013年には改正労働契約法で「5年ルール」という制度が設けられたので、5年以上契約を更新する場合、労働者が希望すれば無期労働契約へ転換しなければなりません。
例えば、1年の更新を5回繰り返した場合、最後の5回目の更新以降は勤続6年目にあたるので、労働者が申請すれば有期労働契約から無期労働契約へと変換されます。仮に始めの契約が3年間で、1回目の更新が3年間での契約となった場合、1回目の更新時から無期労働契約を結ぶことができるのです。これは企業側は拒否することはできません。
但し、労働契約が無期になったとは言え、あくまで契約社員ですので、正社員とは違うということは頭に入れておいて下さい。
このように契約に終わりがあったり、更新があるのも契約社員と正社員の違う点です。
他に「正社員雇用前提」の契約社員というものもあります。
こちらは、契約期間を終えた段階で企業が必要とする人材であれば、正社員として正式に迎えますよというものです。一生懸命仕事をすれば正社員として雇ってくれる優良企業もあれば、それを餌にし最終的に契約を解除する悪質な企業もあるので注意が必要です。
契約社員は人員削減の第一候補・将来性の保障が低い
逆に契約社員は人員削減の第一候補線上に常にいるとも言えます。
正社員を解雇するにはそれなりの理由がいりますが、契約社員であれば期限さえ過ぎれば更新しなければいいのです。
その為企業にとっては扱いやすいとも言えます。勿論契約期間内であれば簡単にクビにすることは出来ませんので、契約期間中はある程度保証されているとも言えます。
正社員と比べ責任が軽いこともある
一般的には正社員と同様常勤ではありますが、この限りではありません。会社によっては勤務時間が短かったり、労働内容が易しい場合もあるので、会社に縛られたくない、正社員と比べて少し気楽な仕事をしたいという方には向いており、福利厚生がついたパートタイムと考えることもできます。
契約によっては正社員より給与が良い場合や賞与付きの可能性もありますが、それらは企業との話し合いによって決定していきます。
契約社員と派遣社員の違い
では契約社員と派遣社員はどのように違うのでしょうか?契約社員と派遣社員は契約を結ぶ相手が違うと考えると分かりやすいです。
契約社員の場合、企業と労働者が直接話し合い契約を結び就業する事になりますが、派遣社員の場合、派遣会社と労働者が契約を結び、派遣会社から企業へ派遣され就業します。
就業先の企業から指示を受け業務を行うことは契約社員と変わりませんが、給与の支給は派遣会社から支払われます。また時給制であったり、労働時間が正社員とは異なったりと契約社員とは根本的に異なります。
当然、契約社員は企業と労働者との契約ですので、契約期間が終了した場合、次の就業先を自分で探す必要がありますが、派遣社員は派遣会社から次の就業先を薦めてもらえる可能性があります。派遣社員についての詳細は派遣社員と正社員の違いをご覧ください。

契約社員は職歴になる?
契約社員は職歴になるのか心配される方は多いですが、正社員と同等の働きをしている為、職歴となりますし履歴書にも記載できます。
但し正社員と同様、短期間の就業であればあまり良い評価にはなりません。そこそこの期間を経ていればキャリアにもなります。
契約社員のメリット
契約社員とはどのようなものかお分かりいただけたかと思います。
契約社員は契約内容により様々ですので、メリットデメリットについては企業と直接話し合った時にしか分かりません。
なぜ契約社員になるのか?
ただ期間が限定されているのでキャリアアップやスキルアップが可能という点と、正社員として採用が難しい企業にも入社できるという2点は大きなメリットと言えるでしょう。
正社員であれば退職しない限りは同じ会社で働くことになるので、一定の業務内しかスキルをつむことができません。しかし期間が設けられている契約社員であれば、最終目標である仕事を逆算し、その為のスキルアップやキャリアアップの為に勤める働き方が出来るのです。
また大手など求職者のライバルが多い企業に正社員として入社するのは簡単ではありません。そういった場合、その企業に契約社員として入り、期間を経て正式に正社員としての雇用を狙うという働き方もできます。
このような理由から正社員ではなく、あえて契約社員を選ぶ方もおられるのです。
また他のメリットとしては、正社員と違い契約や雇用契約書次第では他の会社と同時に働く副業が可能であること。正社員より少し気楽でプライベートを充実させる事が出来ることが挙げられます。
契約社員のデメリット
デメリットは繰り返しになりますが退職金が出ないこと。正社員と同じ条件であるにも関わらず終身雇用でないこと。契約期間が終了すれば更新しない雇い止めの可能性もあり安定性がないことが挙げられます。
正社員雇用実績ありの企業でさえ、契約更新で引っ張るケースも多いので気を付けましょう。5年ルールが適用されたとは言え、5年経過直前に更新を終了する企業の増加も危惧されており、根本的解決はされていません。ますます雇い止めが増えるのでは?とも言われています。
契約社員は正社員と違い企業にとって都合が良い契約でもあります。
正社員と同等の働きをしてくれるのに、退職金や賞与の必要がない為、コストを非常に抑えられます。また必要なければ契約を打ち切れますし、正社員雇用前提と言っても必ずしも雇わなければならない訳でもありません。非常に残酷な表現をすれば使い捨てが出来る人材という事です。
またその他のデメリットとして福利厚生が低く設定されることや家族手当がつかないこともあります。
20代前半に経験を積む為、契約社員として働くという方法はありますが、30代や40代へと進む中で、結婚して家庭を持つ生活を考えた場合、契約社員では厳しいという見方が一般的です。